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□狸寝入りの王様
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これは、まだ平和なころのローランド王国での話。

「あぁもう、なんで今日に限って寝てんだよ」
「うむ、まぁ、あの馬鹿王もたまには休んだ方がいいだろう。」
「そりゃぁ、そうだけどさぁ、なんでこう仕事の多い日に、俺たちに任せて寝るかな。」
ライナ達は今、ローランド城でいつも通りシオンの仕事を手伝おうとしていた。
 しかしそこには、ぐっすり眠っているシオンと山盛りの資料が積み重なっていた。
「シオーン、起きろー、仕事だぞー?
  ・・・駄目か、全然起きないし」
あきらめて作業を始めようとしたそのときだった。
「うーんライナ、右の資料を・・・むにゃむにゃ」
「・・・おい、シオン、起きてるだろお前!」
「むにゃむにゃ・・・・。」
「確かに眠ってはいないようだな。」
「むにゃ、フェリス、3番目の資料を・・・」
その言葉にフェリスの剣が抜かれようとした瞬間、シオンがまた寝言を言う。
「ウィニット・・・うーん、つぶす・・むにゃ」
フェリスが剣を戻す。
「よし、仕事をするぞ、ライナァ!!!」
「むにゃ、予算を決め・・ぐー」
「んー・・明日の会議の資料を…むぅ」
「水色の紙・・むにゃ、記入を・・」
ライナたちが一つの仕事を終えるたびにシオンが寝言を言う。
「シオォォォォォン!お前絶対起きてるだろぉぉ!!立って仕事しろよ!!!!」
シオンの寝言が続く。
「・・・ウィニット…。」
「ラ、ライナ、シオンは寝ているようだぞ、たまには休ませてやるべきだ!」
「はぁ・・・。」
いまだに大量に仕事が残っている。
「上の資料…むにゃ」
指示通りの仕事をライナたちは着々と終わらせていく。いつのまにか指示は聞こえなくなった。
「お?マジで寝たみたい?」
「そのようだな、声が聞こえない。」
「よし、恨みをこめて落書きでもしてやるか。」
「うむ、それはいいな!
 …や、やめておこう、ダンゴのために!」
フェリスの目線の先には『サボったらウィニット団子屋はないと思えよ♪ シオン』
とかいうメモが張ってあって、またライナはため息をついた。
「はぁ・・・。よし、じゃ、仕事の続きをするか。」
「そうしよう。」
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