〜 傀 儡 絵 〜

□さん
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[ 買い物に行こう ]


朝食はミナトさんが用意してくれた。クシナさんは昨晩に帰ってしまったから。

朝食をとりながら、ミナトさんは今日の予定を教えてくれた。てゆか、ミナトさんが作った朝ご飯おいしすぎ。しかもこんなイケメンを見ながら食事なんて幸せ。

それはさておき、今日はこの里で一番偉い忍者、火影様に会いに行かなければならないらしい。その後はクシナさんが買い物に付き合ってくれるって。わーい。


「火影様も心配されていたから、はるのこと。元気になった姿を見せに行こうね」
『うん』
「終わったら買い物だ。必要なもの揃えないとね」
『でもあたしお金持ってない』
「お金の心配はしなくていいよ」
『なんで?』
「子どもなんだから養ってもらうのが当たり前。違う?」
『いや違わないけどさすがにそこまでしてもらうわけには…』
「ありがとうは?」
『ありがとうございますだいすきですミナトさんんん!』


 ◇◇◇


火影塔と呼ばれるところにやってきた。火影様がいるであろう部屋の戸をミナトさんがノックすると、中から老人の声がした。

「失礼します」

ミナトさんについて部屋に入る。

「火影様、はるを連れて参りました」
「おお。ケガはもういいのか?」

あたしはコクリと頷く。
それを見てミナトさんが小声で話しかけてきた。

「緊張しなくていいよ。怖い人じゃないから」

「そこのミナトがお主の面倒を見ることになった。クシナもおる。不便することはないじゃろうが…何かあったら言いなさい」

内容はそれだけだった。本当に顔を見せに行っただけ。

たぶん、あたしは疑われているんだと思う。色んな検査もした。結果はどうか知らない。

でもわかるのは一つだけ、あたしが頼れるのはミナトさんとこの里だけだってこと…。




 ◇◇◇




それからすぐクシナさんが合流した。買い物がてら里を案内してくれるらしい。


クシナさんは本当によく喋る人だった(人のこと言えない)。必要なことから必要のないことまでなんでも教えてくれた。

「そこの八百屋はダメね。野菜を買うならこの先の八百屋にしなさい!あ、お肉を買うならこの通りを右に曲がったお店で……あ、あそこのお団子は絶品よ!そうそう、こないだ一楽っていうラーメン屋さんの屋台が新しくオープンしたんだけど…」
「クシナ、一度に言ってもはるが混乱しちゃうよ」
「あ…ごめんね」

舌を出して苦笑するクシナさん。

「この服、はるに似合うんじゃない?あ、こっちも!こっちも!」
『ク、クシナさん…』
「良いわね、綺麗な黒髪だし、整った顔してるから何でも似合っちゃう!」
「これじゃどっちが子どもかわからないね」
「ミナト!それどういう意味だってばね!」
『(だってばね?)』

たくさんの店を見て回った。衣類、食品、雑貨……。

たまたま立ち寄った雑貨店で見つけた一つの髪飾り。

手に取ると、赤くて透明な飾りは太陽の光を受けてキラキラ輝いていた。


「ほしいのかい?」

ミナトさんは顔を覗き込んで言った。

『いやほしくなんてないですよ、キレーだなって思っただけでっ!』
「すみません、これください」
「はいよ!」

ミナトさんは勘定を済ませ、包装された髪飾りを渡してくれた。

「はい」
『ありがとうございます。でも』
「はるが初めて興味を示した。だから買ったんだ」
「きっと似合うわよ」

ミナトさんイケメンすぎるよおおおお!ミナトさんからのプレゼントってことでいいかな?いいかな?

『すごく気った墓まで持って行く』
「そんなに気に入ってもらえたんだ」

日が、傾きかけていた。

「そろそろ帰ろうか」
「はる、何か食べたいものある?なんでも作ってあげるわよ」
『やった!』




(まあでもいちばんの好物はミナトさんの笑顔だけど)

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