茜
□夕暮れがまた茜色に
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「リクオ」
今日もあの神社に向かおうとしたら母さんに話しかけられた。
覚醒したオレに話し掛けてくるとは珍しい。
「なんだい?母さん」
「最近よく出かけているみたいだから。どうせどこかにお世話になってるんでしょ?これ、余り物だけど渡してくれる?」
そう言っておはぎの詰まった重箱を渡してきた。
「お礼にって。お世話になっている人によろしくね」
母さんはまだ家事が残っているのか、台所に戻っていた。
重箱を見ながら苦笑する。
(なんで世話になってるってわかるかな…)