茜

□夕暮れがまた茜色に
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「リクオ様、今日もお散歩ですか?」


呆れたような声色でそう尋ねてきたのは首無


「気に入いられた所でもあるんですか?ここ毎日いつも行っているじゃないですか」


「まぁな。すっげー面白ぇとこ見つけてよ。桜が綺麗な所なんだぜ」


「はぁ。外出もほどほどにして下さいよ」


「わぁってるよ。じゃあな」










オレが通うのはでっけぇ桜。

月夜に照らされた花弁がキラキラとまるで宝石のように輝く。


オレはこの木がかなり気に入っている。

古びた神社の御神木であるこの桜。そこに待ってるのは別賓の巫女でもなけりゃ、気高い桜の精霊でもない。



「また来よったのか」


「邪魔するぜ、クソジジィ」



死にぞこないの廃れたジジィだ。



「邪魔するなら帰れ。このクソガキ」


「少しくらいいいじゃねぇか」


「うちの御神木で寛ぎおって、雑魚妖怪のくせに」


「百鬼夜行を従えるオレに大層な物言いだな、ジジィ。」


「フン。お前なんぞ初代ぬらりひょんに比べりゃ月とすっほんの差じゃい」


「言ってくれるじゃねぇか」



憎まれ口ばかりたたくこの老いぼれだが、暇潰しにはなる。


「お前とぬらりひょんが似とるとこなんぞ、その瓜二つな顔ぐらいなもんじゃ」


オレにそっくりのそのぬらりひょんもといジジィも先日やっと息を引き取った。

いきなりのことで腑に落ちなかったのを覚えている。



もしかしたらオレはそのジジィとここにいる老いぼれを重ねてんのかもしれねぇ。









(今宵も桜が綺麗だ…)

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