V

□[be in love...U]
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男が男を好きになるなんてありえないし、この子だって普通に女が好きなはず

頭ぶつけた時に頭のネジが何本か飛んだのかもしれない
それで同性にこんな感情を抱いてしまったのかもしれないと

そう思って


この恋は偽者なんだと思おうとしても


「ん、銀さん……」



やはり俺はこの少年に


恋をしてしまった








華奢な躰を俺が寝ていたソファへと寝かせ、寝室から持ってきたタオルケットを新八にかけ

寝言で俺の名前を呼ぶこの子にまたキスを贈る


「好き…だ。新八……」


君だけの記憶を無くして君をすごく傷つけて挙句の果てに
君を好きになって


都合がよすぎる?矛盾してる?


ごめんな…でもお前が好きで好きでたまらなくて


気が狂いそうで




俺が新八の手を握るとまた新八は俺の手を離さないようにぎゅっと握って…
愛しいこの子の小さな唇に俺は何度も何度もキスを落とし
俺と繋がった小さな手を更に強くでも優しく握り返し指をひとつづつ

絡めて重ねて、俺より小さく可愛らしい手の甲に口付けた


本当にネジがぶっ飛んだらしい、同性をしかもこんな歳の一回り離れた少年を


愛してしまうなんて






なぁ、お前にとって俺はどんな存在だった?

なぁ、俺達の関係は本当にただの上司と助手だったワケ?

こんなにお前の事ばかり考えるようになって

こんなにお前の事をこれでもかってぐらい愛しちゃって


「俺どうしたら良いか、わかんねぇよ……」


閉じられたこの子の瞳からぽたりと一筋の涙が落ちて

それを指の腹で拭き取ってやるとまた、ぽつりぽつりと頬を伝って


「さん……銀さ、」


俺の名を切なげに悲痛に呼ぶ唇を思わず


己の唇で塞いだ





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