V

□[danger signal]
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誰かに気付いて

欲しかった

俺からの




.  danger. signal
.    危険信号










「あんっ…十四郎さん、十四郎さん」


俺の上に跨がってよがっている女。顔も名前も今だ覚えちゃいねぇ

というか覚える気もない



幹部に紹介された貴族の娘共、純粋な顔して本当は今まで何人もの男を喰ってる奴等が大半

雄を誘うような俺にとっちゃ臭い香水つけて、トロンと甘える仕草をしてくるそんなの手慣れたものだってくらい甘く

俺が煙草を咥えるとその煙草を取って悪戯っぽく笑うと俺にグロスたっぷりの唇でキスしてくる


「十四郎さん、愛してるわ…十四郎さん私だけを愛してちょうだい」


感が良い女は自分の他にも女がいる事を悟りすがりついてくる
ベタベタな愛の言葉を乗せて

貴族の娘、それも幹部からの紹介とあっちゃあさすがの俺も

「あぁ、お前だけ」


愛してる


なんて嘘の言葉言って女のそのグロスでべたついた唇に噛み付くように口付けをする

偽りの愛だこんなの、俺はお前らなんか愛しちゃいねぇ

どんなにスタイルが良かろうと

どんなに胸がでかかろうと

どんなに顔立ちが綺麗だろうと可愛かろうと


俺は微塵も愛しちゃいねぇよ



ふぅっと紫煙を吐きだし行為が終わりウザイくらい寄り添ってくる女を強制的に離れさせた


「わりぃな、この後仕事があるから」


ヒステリックに近い女の声がする。どうせ違う女の所にでも行くんでしょ!?と

ウザイウザイウザイ


「愛してる…」


また吐き気がする言葉を吐いて女を黙らせて一人先にホテルから出た






胸糞わるい…女の甘ったるい匂いが消えねぇ……

また煙草を出して火をつけ咥えると身を落着ける。これは俺の精神安定剤だ


「あっ、土方さん?」


卑猥な建物から抜けて少したった場所で鈴の音を転がしたような
澄んだ声が聞こえ振返ると


「やっぱり土方さんだ、こんにちわ」


万事屋に勤務してる新八が居て、にっこりと笑顔で俺に話しかけて来た


「今日は私服なんですね。非番ですか?」

「まぁ…そんなところだ」


あのじゃじゃ馬の一人が近藤さんに無理やり俺を今日休ませるよう言いやがったんだ

女の相手するより仕事してる方がまだマシ

ふぅっとまた俺が煙を吐くと新八が隣りでごほごほと咳き込み出した


「煙いか?すまねぇな」


すぐに煙草を地面に捨てて火を消すと新八はありがとうございますと丁寧に俺に会釈した



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