□“告白”智SEED
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『大野君て 背ちっちゃいよね』
番組の収録終わり、ゲストで来ていた女優さんが俺の真横にピッタリくっついた。
慣れない女の行動に度肝を抜かれた。
別に緊張していた訳ではない…ただ此処まで積極的な女に出会った事が無かったから思わず一歩引いた…。
そんな俺を見て、微笑ましいわね、お似合いだよと勘違いしたスタッフが笑う。
周りの雰囲気に呑み込まれる様に俯いた。
笑い掛ける女に引き吊った笑顔を見せると彼女は満足気に俺の隣の席を陣取る。
「リーダー…」
不意に背後から呼ばれて聞き慣れた声にビクッと肩を竦める。
全身に響き渡る…体の中心にドスンと入ってくるような声は松潤だ…。
最近、想う…俺は変態なのかな…と。
男の…しかもメンバー…の声で心臓が跳び跳ねる。
体が熱くなる…。
ふとした瞬間に…頭の中を過るのは松潤…。
「どうした リーダー」
松潤が俺の肩に手を回して顔を覗き込む。
黙る俺に「そんなに驚かなくても良いだろっ」と笑った。
「まっ…つ…手を…」
“手をどけて…” 勇気を振り絞ったこの言葉は隣の女が松潤に話し掛けた事によってかき消された。
そのまま松潤はその女と話し始めた。
未だ退かれる事の無い松潤の手から俺の服を通して体温が身体を刺激する。
頼むから…話し込まないで…くれ…二人とも俺から離れてくれ…。
その思いで必死だった。 顔が熱い…きっと真っ赤だ…自分でも分かる…。 俺は…変態だ…。
額を流れる汗は頬を伝い床に滴る。
俯く俺の汗に軽く触れると松潤が「大丈夫か?」と顔を覗き込んだ。
うっ…わぁ…見るな…。 思わず逃げるように顔を背けた。
「リーダー…?」
「あっ…ごめ…ん」
絞り出すように謝る。
場の空気に耐えきれなくなって「…楽屋に…戻る…」そう言って松潤の手を振りほどいて、逃げるようにスタジオを後にした。
廊下に出て深い深呼吸。 冷たい筈の冷房の空気がやたら気持ち良い事に思ってた以上に身体が火照っていたのだと気付く。 歩き出した俺の手を後ろから引かれた。
「おわぁ…!」
振り向いてビックリ…そこにいたのは松潤…じゃなくてあの女…。
期待外れだとガッカリする自分がいた。
『大野君…私ね 大野君が好きなの』
俺より少し背の高いその女はより一層俺の手を握り締める力を強くした。 勇気を振り絞って言ったであろう彼女の言葉を一語一語噛み砕きながら飲み込んだ。
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