†Una memoria†

□*Un reencounter*
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晴れ渡った空からはこぼれんばかりの日差しが注いでいた。

なぜ再会したのだろうか…

どうしてオレは覚えていたのだろうか…

そう、あの日から忘れられなかった雨の中見た、太陽の瞳を…


†Un reencounter〜再会〜


 いつの間にか彼は佇んでいた。そのトレードマークとも言える黒髪をかき上げながら、少し肩を落として。彼の目の前には煉瓦で囲まれた【Un liceo minore:学校】があった。道行く学生達の身なりは彼とかなり違う。この学校はパレルモにおいて、かなりの金持ちでないと通えない学校だ。もちろん、彼がこの学校への入学を希望している訳ではない。彼に、勉強の2文字を与えようとしたならば、鉄拳制裁が還ってくるだろう。だが、彼はここへ足繁く通っている、そう…あの雨の日から。

 先日のあの抗争の日。路地から飛び出した際に突き倒してしまった子を忘れられない。簡単に説明すればそうなのだが、彼は認めないだろう。彼自身ここへ何をしにきているのかわからずにいる。
 こうして待っている間も、自問自答を繰り返してはため息を吐く。まったく彼らしくない事の繰り返しだ。何度目かのため息を吐いた時に彼の視線は一点を差し止まった。





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