†Una memoria†

□*In un giorno piovoso*
1ページ/2ページ

石畳を濡らす雨。

分厚い雲。

イタリアでは珍しい重い雨の日だった。



【In un giorno piovoso〜雨の日に〜】



 黒い前髪の向こうで二つの眼孔が鋭く相手を睨み付けている。まだ大人とは言えない背格好なのだが、彼はすでにこのストリートでなわばりを持っていた。そして今、彼のなわばりに別のチームがやって来て大騒ぎになっていたのだ。

 なわばり意識を持たない彼なのだが、周りがうるさい。取り巻きのように群がる者達の視線を浴び彼は敵対するチームのボスらしき少年と対峙している。

 前髪を重くする雨が煩い。周りの声もうるさい。黒髪の少年は自分の機嫌をどんどん悪くする現状に辟易とし、早く終わらせようと駆け出した。

 「うるせぇ!このドカスどもが!!!」

 罵声と共に相手のチームへと雪崩れ込む。双方の少年達が後へ続けと走り出し、辺りの喧噪は凄まじいものとなった。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ