†Una memoria†
□*In un giorno piovoso*
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石畳を濡らす雨。
分厚い雲。
イタリアでは珍しい重い雨の日だった。
【In un giorno piovoso〜雨の日に〜】
黒い前髪の向こうで二つの眼孔が鋭く相手を睨み付けている。まだ大人とは言えない背格好なのだが、彼はすでにこのストリートでなわばりを持っていた。そして今、彼のなわばりに別のチームがやって来て大騒ぎになっていたのだ。
なわばり意識を持たない彼なのだが、周りがうるさい。取り巻きのように群がる者達の視線を浴び彼は敵対するチームのボスらしき少年と対峙している。
前髪を重くする雨が煩い。周りの声もうるさい。黒髪の少年は自分の機嫌をどんどん悪くする現状に辟易とし、早く終わらせようと駆け出した。
「うるせぇ!このドカスどもが!!!」
罵声と共に相手のチームへと雪崩れ込む。双方の少年達が後へ続けと走り出し、辺りの喧噪は凄まじいものとなった。
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