短編1

□bird cage
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さぁ、行こうよ。僕の手をとった君はどこか急いで。
夏の匂いも微かに残り、外は急な大雨が降り続く。
ちょっと待ってよ、なんて。そんなの聴く君じゃないだろう?
わかったフリをして走り出した二人の横を。
嘲笑うかのように秋風が流れた。

泣き出した君の涙は本物だろうか。
記憶の中で、二人の誓いだけが意味をもつ。
怖いんだ。
慰めるように口付けた君の薬指は、やけに白かった。
君は、笑った。


あの、まるで子供のような時間と
(大人の時間になって)

両手をすり抜けた想いを
(君のその手を離してから)

いつまでもいつまでも僕の心に刻んで
(どのくらいまだ残っているのだろうか?)


「さよなら」と告げて。
昨日までの君を離した。
触れ合うこともできなくなった僕らは。
二人の世界しか、知らなかった。



二人ぼっち side:H
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