宝物

□自分勝手な俺でごめんね
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地元を出て三年。久しぶりかけた電話越しに聞いた君の声は元気そうで安心した。


だけど声を聞いてしまったら、やっぱり逢いたい気持ちが膨らんでいく。

あの日言えなかった言葉。今になって伝えておけばよかったなんて、もう遅いかな。

でもね、逢いたいんだ。


自惚れじゃなければ、あの時君も俺のことを好きだったよね。だけど置いていく君に気持ちを伝えたら寂しい思いをさせてしまう。そんなことを考えたら言えなかった。



…ごめん。嘘をついた。

本当はただ怖かっただけ。離れて過ごすうちに君が他の誰かを好きになって、いつか別れを告げられる日が来るのを恐れただけなんだ。情けない話だけどね。




「待ってて」


あの日、見送りに来た君にそう言って俺は地元から出た。

曖昧にした言葉が君を縛り付けるって知っていたよ。三年経った今、まだ君は俺を想ってくれているかな。

電話越しの声が元気そうだったのはもう俺を忘れたから?君の心にはもう他の誰かがいるのかな?


例えそうだとしても、もう自分の気持ちに嘘はつけない。


逢いたい。

あの時言えなかった君への気持ち、今言葉にして伝えるよ。



だからお願い、
まだ俺を想っていて。


明日まででいい、
そこで俺を待っていて。


遅くなったけど、
ここから始めようよ。


君に逢いに行くから。



end

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