短編
□神が奏でる狂想曲
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生まれてからこれまでで最高に赤くなった顔を隠そうと腕を挙げようとしたら、にこやかな表情を浮かべる浜田に腕を掴まれてしまった。
「…っ!放せよ!」
「えー。ヤダ。泉カワイーんだもん」
恥ずかしげもなくそんな事をサラっと言いのけるコイツに、更に頬に熱が集まる。
「んな…っ!!…っつーか、お前好きな女がいたんじゃなかったのかよ!?」
恥ずかしくて視線をさ迷わせながら苦し紛れに言った言葉は、先程からずっと気になっていたこと。
どこか拗ねたような響きが出たのは、多分照れ隠しだ。
「え?俺そんなこと言ったっけ?」
キョトン、と目を丸める浜田を出来るかぎりの怒りを込めて睨み付けてやる。が、嬉しさの方が先だってしまってイマイチ迫力にかけるのか、浜田は特に気にした様子もないねがまた頭にくる。
「だって、俺もかわいい女の子に好きって言いたいって言ってたじゃねェか」
先程の話していた会話の中の台詞を繰り返してやれば、思い出したのか浜田はああ、と納得した表情を浮かべた。
その表情にドキリと焦燥感が生まれる。
もし肯定されたらどうしよう。
やっぱり自分が好きだっていうのは嘘だと言われたらどうすればいいんだろうか。
これほどまでに自分の言葉を後悔したことはないかもしれない。
不安で、思わず浜田の顔を凝視していると、浜田は面白そうにクスクスと笑った。
「俺、カワイー子に好きって言いたいっつっただけで、女の子だなんて一言も言ってないケド?」
「………へ?」
浜田の言葉にマヌケな声が出てしまう。
そうだったか?と思い出そうとするが、自分もごまかすので精一杯だったからイマイチはっきりとは思い出せない。
考えあぐねていると、それに、と浜田が続けた。
「俺にとってのカワイー子は泉だからね」
「…な…!?」
ようやく収まったと思った頬の火照りが振り返す。
今日一日の頬の平均体温は常温より数度以上高いはずだ。絶対に。
「それで、泉の返事が聞きたいんだけど?」
腕を掴んだ浜田の手が、ほんの少し震えた気がして浜田の顔を見上げれば、微笑んではいるものの、どこか不安そうに揺れている。
自分しか映っていないその瞳に、自然と頬が緩んでしまう。
「…ばーか。嫌いだったらもう逃げてるってーの」
相変わらず素直じゃない言い回しにも、浜田はゆっくりとその顔に満面の笑みを浮かべると、掴んでいた腕を引いた。
オレはようやく、ずっと欲しかった居場所を手に入れた。
あとがき
ハマイズの日常悲恋気味ということで、悲恋から最後は一応ハッピーエンドにしてみましたが、如何でしたか?とことん悲恋の方がよかったですかね?(汗)
今回のお話は泉視点で書かせて頂きました。
内容的に前半はネガティブだったので、ちょっとでも和らげられたらなー、という感じで最後の神様のくだりを入れてみたんですが、なんだか纏まりない感じに仕上がっちゃった感が否めないという…。
ちなみに、場所設定としては放課後誰もいない教室、または浜田ん家という曖昧さ丸出しの設定…。どっちかっていうと、前者かな…?夕日の中でっていう設定に萌えを感じます←
実際、男同士のカップルって、どちらかがカミングアウトしてない限り成り得ませんよね。あくまで想像ですが…。
普通は好きでも絶対隠してると思うんですよね。ということで、今回は泉君に悩んでもらいました☆
私が書く浜田はエセっぽいなぁ、とつくづく感じてしまいます^^;
ざくろさま!ステキなリクエストをありがとうございました!!
自分としては楽しんで書かせて頂きました!ざくろさまにも楽しんで頂ければ嬉しく思います!
これからもよろしくお願いします!