短編

□REG
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06―MEETING―




「お前らが次のプレイヤーか?」

ついてこい、と男は返事も待たずにスタスタと歩き出した。
随分と横柄な態度ではあったが、何も言わず男の後をついて行く。男の服を見たからだ。
大分擦り切れたり汚れたりはしていたが、それは確かに学生服だった。

男は泉達よりも年上なのだろう。
後ろ姿は細いがしっかりとした筋肉がついている。
黒い髪は浜田と同じくらいで少し長めだ。顔は汚れ、パッと見ただけでは年寄りに見えてしまう程にやつれている。しかしその眼光の強さだったり、醸し出す雰囲気には若々しさが滲み出ている。

男の後ろ姿を観察しながらついて行くと、暗い洞窟についた。
日の光が入らない暗い洞窟に光も持たず男は躊躇なく飛び込んでいく。
一瞬、本当について行っていいのか迷ったが、浜田の顔を見ると固い表情の中にある決心を見て一つ呼吸を置いて一歩、暗闇へと踏み込んだ。
先が見えない暗闇に飲み込まれながら、どうしてこんな状況になったのかを泉はぼんやりと思い返していた。















「ホントに誰もいないんだな」

明るくなった街は相変わらず閑散とした雰囲気に包まれていた。
商店街らしき通りがあるにも関わらず、開いている店は一つもない。

結局あの家で一晩休んで気合いを入れて街に繰り出したものの、この小さな街には今現在自分達以外誰もいないという真実がわかっただけだった。
今後の事を話し合う為にいったん戻ろうと足を動かそうとした瞬間、巨大な爆音が響いた。

「な、なんだ!?」

「あそこ!!煙が立ってる」

浜田が指差した先に、屋根の隙間から天に向かって立ち上る黒煙がはっきりと見えた。
太く黒いその煙は、明らかに街の異常を示していた。

「爆発…?」

「一体どうなって…」

言い終わらないうちに、また爆音が轟いた。先ほどより近い。
大地が揺れて、建物が崩れる音がする。
南西方向に黒い煙が立ち上っているのが見えた。

「とにかく一旦街を離れようぜ」

「お、おぉ」

大地の震えを足元に感じながら街の出口へと向かう。
走れば走るほど、爆発はまるで後を追ってくるかのように段々背後に迫ってくる。
ついさっき通り過ぎた家が突然爆発し、崩れた。爆風で飛んで来た白い壁の破片が目の前に落ちて来る。

「急げ!!」

いつ爆発に巻き込まれるかわからない状況で必死に走った。
出口まではあと少しだ。
狭く区切られた門の外側には広い平原が広がっている。そこまで走ればとりあえずこの危機からは回避出来るはずだ。

一際大きな爆発音が轟く一瞬前に、街の外へと飛び出した。

「…な、何だったんだ…?」

街から抜けてもしばらくは走り続けた。
爆発物の残骸が飛んでこないとも限らないからだ。
方向も定めず走り続けていると、森が見えて来た。森の一番外側に生えている木の根元まで来ると、二人は同時に座り込んだ。
ようやく安全圏と思われる場所にたどり着き、ホッと息をつく。

「…な、何だったんだ…?さっきの」

「わかんね、」

緊張と疲労で肩で息をしながら尋ねると、浜田も同じく疲れた様子で首を横に振る。
唐突に始まった爆発に二人はただただ混乱するばかりだ。

そんな時だった。

ガサリと草むらを掻き分けて、森の奥から崎山が二人の目の前に現れたのは。






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