新選組屯所

生きてこそ
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…やけに静かな感じがする。

夕べは珍しく足腰が立たないくらい飲みすぎた。

らしくもねぇ…

と思いながらも、ふと膝枕をされていることに気がついた。

桜庭鈴花が心配そうに、悲しげにのぞき込んでいる。

『…永倉さん…大丈夫ですか?』

『桜庭ァ…なんて顔してやがんだ……ちぃ〜とばかし飲み過ぎたかな…』


夕べの宴では、近藤が離さないという風に酌をし、永倉は飲まされ続けたのである。

酒好きな永倉であっても、相当な量を飲んでしまったようだ。


桜庭に膝枕をしてもらっているとわかると、島原では何の気兼ねもないのに、急に気恥ずかしさが沸き起こってきた。
しかし、体はまだいうことをきかない。


『あ〜悪りィな。介抱させちまったみてーで』


桜庭はいつもとは違う、優しい表情で、

『いいんですよ、気にしないで下さい…このままで…』

と言った。

今夜はふざける気も起きず、何か別の感情に気づかされた。
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