銀魂短編
□卒業
1ページ/1ページ
3月1日。銀魂高校では卒業式が行われた。
既に式そのものは終わり、廊下や3年の教室では送別会や追い出し会が行われている。
「はーぁ…。今日で卒業かぁ…」
友達や後輩と長話をした後、私は銀八先生がいる国語準備室へ来ていた。
「去年も一昨年も一緒にここの窓から追い出し会見てたのにね…」
「だから言ったろ?高校の3年間なんてあっという間だって」
涙を見せたくなくて窓に張り付くように外を見ていた。
「***…」
銀八先生は私が泣いているのを知ってか、ポンポンと撫でた。
「俺、最初***見たとき可愛いやついるなーって見てた」
「何言ってんの」
つっぱって笑って見せたが、その瞬間目にたまっていた涙が頬をつたった。
「そしたら3年間***の担任やれてさ。すげー楽しかった」
「私も先生のクラスですごい楽しかった。Z組は問題が多いけど、その代わり楽しい思い出も多かった」
「で、その問題児達が卒業とくりゃ嬉しいんだよ」
「私はあんまり嬉しくないな」と言った声は自分でもわかる程切なかった。
「ねぇ、先生…。最後に一回キスさせてよ」
銀八先生は驚いたあとちょっとだけ吹き出して笑ったあと、一言だけ言った。
「いいぜ?」
と。そして目を閉じて下を向く。
それから、背伸びして、触れるだけの甘いキス。
再び涙をこぼす私に先生が言ってくれたのは、
「俺ンとこ来いよ。付き合おーぜ」
私はセーターの袖で涙を拭い先生に抱きついた。
「うぉっ」
「行く」
照れた様な先生の顔を真っ直ぐ見つめる。
「私、先生んとこ行く!!」
「サンキューな。俺さ、ずっと***のこと好きだったんだぜ?好かれてるの知ってたけど流石に言えねぇしよ」
でももう俺等教師と生徒の関係じゃねぇし。
先生はそう言って私の額にキスをした。
卒業
(じれったい片想いからも、卒業。)