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□知ってたよ 君は僕を愛してない
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君は囚われたお姫様。
強くて美しくて、人前では泣かない君が流した唯一の涙の雫が何を意味していたのかは馬鹿な僕にだって分かっていた。
「すき、すき、あいしてる」
柔らかで軋むベッドの上で伸ばした手を縋るように絡めてくるスクアーロは冷たく、繰り返す言葉は拙い。瞳は空を見つめてはうっとりと吐息をもらす。
「俺も、好きだぜスクアーロ」
お前を閉じ込める前からずっとそうだったんだ。
好きだって感じた瞬間、なんて本当にまばたきした間に忘れちゃったけどああ、これが一目惚れなんだなぁ、と自分で自分に酔っちゃうくらいにそう思った。
だけど好きだって気付いた時にはもうスクアーロには心に決めた奴がいて、俺には全く振り向いてはくれなかった。
あの、俺よりスクアーロより小さくて歳下で天才の王子のせいで。
俺はスクアーロの心のほんの少しの隙間でさえ入ることは許されなかった。
「すき、すき、ねえ、ベルは?」
「……すき、だよ」
ベルフェゴールはスクアーロのこと、ちゃんと好きだよ。きっと俺が思っているよりもずっと。
だから、悔しかったんだ。ベルフェゴールの名前を呼ぶスクアーロはあまりに幸せそうだったから。二人は凄く通じあっていたから。だから、スクアーロをベルフェゴールから引き離してキャバッローネの屋敷の一部屋に軟禁紛いのことなんかして。
「ごめん、スクアーロ」
こんな駄目な俺が、お前のことを愛していて。
知ってたよ 君は僕を愛してない
(知ってたけど、あいつに渡すにはまだ覚悟が出来てない)
2009.06.27
軟禁紛いであって軟禁ではない。
外にだってなんだって自由に行けるけどディーノがベルには会っちゃだめ、とか言うから精神的にぷつりしましたスクアーロ。
こんなスクアーロはスクアーロじゃないですね。