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□好きだよ
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今日も先輩は綺麗だ。
歩くたんびにさらさらの銀髪を揺らして、振り返れば鋭い眼光と悪戯ににやりと僅かに上がる艶やかな唇に魅了される。
身長は高いしモデルみたい。
悔しいけど俺のが小さい。後輩だから仕方ない。悔しいけど。
でも俺手と足でかいし牛乳も好きで毎日飲んでるからもしかしたら先輩よりおっきくなるかもよ?あ、話が脱線した。

とにかく先輩は俺的に綺麗でそりゃまー下手したら女神様に見えなくもない感じで。
今まで自分の事しか興味無かったのに、自分しか見て無かったのに、突然現れて俺の腐り切った心をかっさらっていった凄い人。
所謂自分のテリトリーに自ら進んで入れたい、数少ない人。
世の中ではそれを好いてるだの恋してるだの言うことは知ってる。
最初はそんなことは無いって思ってたんだ。我ながら珍しくねちっこく悩んだりした。
だってね、俺の心にきらきら輝いて居据わってる先輩は、とっても綺麗だけど残念ながら男で。
俺だって今まで男を綺麗とか気になるとか思ったことは無いよ?たまに喧嘩が強い奴が気になったりするけど…。でもそれとは全く違って。
触れたい、この腕の中に抱き締めたい、その強い光を放つ瞳に俺を映して欲しいって明らかに女の子に思う様なことまで頭によぎる。

ああ、俺は末期の病気にかかったみたいだ。

悩んで悩んで悩みぬいても先輩を諦めるなんて出来なくて。
そこで俺はやっと先輩のことを好きだって認めた。
こっちはさっぱり諦めがついて、認めてしまえば今まで無理に閉じ込めていた先輩への想いが、どくどくと血が流れる様に、かつ留まることを知らない滝の様に大量に溢れ出てきた。
こんなに気持ちいい感情は初めてで、凄く清々しい。ずっと認めなかったのが馬鹿らしくなるほどに、その感情は俺を侵食する。

好き、好き、大好き。
堪らなく好き。

軽く苦しい息も、先輩への気持ちからくると思ったら平気。

大好き、先輩。

大好き、スペルビ・スクアーロ先輩。

もしかしたらこれから心の中でスクアーロって呼び捨てするかもだけど許してね、先輩?





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