刹那
□第一章 RED EYES
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───これはもう昔の話。
大陸を東西に分けて並ぶファイセン国とインガス国。
両国の領地戦争は開戦して百年近く経ち、多くの犠牲者を出していた。
当時、インガス国軍に圧されていたファイセン国の国王はハーリス。しかし、既に彼は病に冒され、国を統治するのは無理だとされた。
そのハーリスの後継者とされていたのがハーリスの第一子であるルイス。
普通ならば、嫡男であるルイスが次期国王になるのは当然なのだが、当時は、ルイスを王にしようというルイス派と、敵国のインガスの王太子であるクリートを王にしようというクリート派に別れており、内乱が起こっていたためルイスは即位することが出来ずにいた。
しかしその三年後、ファイセン国国王ハーリスが死去。仕方なくルイスが王位に就くことになった。
だが、それをクリート派が許すわけもなく……。ルイスは王として顔を出すための戴冠式も行えずにいた。
また、ルイスの母であるリアンはインガス国の元王女で、無理矢理人質の様にして嫁いできていた。そのため、リアンはインガス国内とファイセン国内のクリート派の仲介の手助けをしたり、ルイスに何度も毒を盛ったり、と何とかしてクリートを国王にしようとしていた。
そんな時、ルイスへ謁見を求めた少女がいた。
ルイスは少女の話しを聞き半信半疑で少女の申し出を受け入れる。
面会の儀の際、少女と二人きりでルイスは話をした。
彼女は最初に言った。
『神様の声を聞きました』
強さを持ったルビーの瞳で。
『私があなたを支えてみせます』
孤高に立つたった一人の王に跪き、微笑を浮かべた。
彼女の名は何百年後も人々の心に残り、歴史に名を刻んだ。
【第一話 RED EYES】
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