long poem

□藤袴〜rainy day〜
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冷たい雨 濡れた髪
静まり返る夜の街
ふたりだけを強調させて

傘も差さずに来た僕を
優しい君は傘の中に
狭い世界にふたりだけ


びしょ濡れの服と靴が
今 僕がどれだけ君を
想っているかの証みたい

君の僕への想いは
何に表されているのか
僕が気づけなかったから



今では
会いたくても会えない日々の中
君を探している日々の中
あの日 笑ってた君を心に浮かべて

会いたくても会えない日々の中
君を忘れていく日々の中
あの頃の雨に濡れた君が まだ微かに 僕の中に



ふたりでいた頃の雨は
淋しさを僕の心に
植え付けやしなかったのに

未来(さき)をわかっていたのは
泪を流す藤袴と
隣で笑ってた君だけ



あの頃
会いたければ会えていた あの日々を
雨の中で佇む あの日々を
あの日 その唇がさよならを告げた

会いたければ会えていた あの日々を
濡れた顔に触れた あの日々を
君は振り返らずに 僕に傘をくれた 青色の傘



ひとりでいる時の雨は
こんなにも綺麗に光り
君との日々を映していた

でも 雨は弱まってきた
少しずつ そう少しずつ
いつかやんでいくのだろう



これから
君が隣にいた あの日々を
花の様に笑う あの君を
僕はこの想い出を花にうつして

君が隣にいない日々の中
風の様に走る日々の君
高く花びらが舞い飛んで
紅紫の花 藤袴

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