long poem
□ナツノユキ
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窓の外青々と
緑がなっている八月
入道雲浮かぶ青空に
蝉時雨が夏を増す
涼む夜は街の灯りが
螢みたいで
飛び交う螢が
弱々しい線香花火に見えた
君が見たものを
僕が彫刻にしよう
君が言う言葉を
僕が謌にしよう
君が聞いた音色を
僕が絵にしよう
君が触れたものを
僕が装飾にしよう
僕に微笑んだ君を
強さと呼ぼう
風突き抜ける
ペダルこいだ両脚
踵にぶつかるつま先が
ふたりだけの距離だった
わかっていたのか
君との日々は陽炎と
遠い陽炎が
僕らの知らない世界への憧れ
君が見たものを
僕が彫刻にしよう
君が言う言葉を
僕が謌にしよう
君が聞いた音色を
僕が絵にしよう
君が触れたものを
僕が装飾にしよう
僕に君は教えてくれた
夏の雪
窓の外まだ少し
緑がなっている九月
宵の秋風
体の熱も心も奪っていけ
静かな足音しか
聞こえないなら僕を
海の底で眠らせて
ナツノユキがまた降るまで
ナツノユキがまた輝くまで