短編、その他
□お昼寝
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「ここにもいない…」
屋上をぐるっと回ってみるが、佐助の姿はない。
幸村は、ショボとなって戻ろうとドアに手をかけるとドアの上にも人が隠れられるスペースがあることに気付く。
「もしかして、この上か?」
上がってみると、そこには幸村の探していた人物が気持ち良さそうに寝ている。
「こんな所に…」
気持ち良さそうに寝ている佐助の隣に座り、額にかかるオレンジ色の髪を指に絡めても、頬っぺたをつついたりしても、何をしても起きる気配を見せない。
「珍しい…疲れているのか?」
いつもだったら近寄っただけで起きる佐助なのだが、本当に爆睡しているらしい。
自分の腕を枕をしているといっても下はコンクリートで痛いはず。そう思った幸村は、佐助の隣から頭の上へと移動して佐助の頭を自分の膝の上に優しくのせる。
「クスクス…たまには良いでござるな。おやすみ、佐助」
ちゅ!
そう言っておでこにキスをする。そしてしばらく佐助の寝顔を見ながら髪を撫でていたが、心地良い日射しと穏やかな風に誘われるように幸村にも睡魔が訪れ、幸村も佐助の頭を膝の上に乗せたまま瞼を閉じる。
「……///勘弁してよ。ちょっと旦那をからかおうと思って、寝た振りしただけなんだけど。あんな事されちゃ、勿体無くて起きられないでしょ」
しばらく、自分の頭を乗せながら居眠りをしている幸村を見ながら。「ありがとう」そう言って佐助は再び瞼を閉じた。
逃げる。