短編、その他

□あなたの願い、僕の願い…
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「佐助、そのまま上を向け」

「はい、はい…」

「そうしたら、目を開けろ」

「ん……」


言われるがまま目を開けるとそこには、立派な桜の木が一本たっていた。


「………」

「どうだ!凄いだろう!」

「うん…スゴイ……」

「綺麗だろう!」

「うん…でも、何でこんな所に?」

「さぁ、俺にも分からん。たまたま、昔見つけたのだ」


詳しく旦那に聞くと、昔、山で遊んできたら迷子になりそのときにたまたま見つけたらしい。


「そう言えば、あったねそんなこと…あの時は、大変だったよ」

「う゛〜〜。す、すまぬ…」

「良いよ別に。でも…」

「?」

「花見をするのに何も持ってこなかったよ」

「心配するな!」


旦那はそう言うと、桜の木の根本の方からズルズルと風呂敷を出し広げる。
広げた風呂敷からは、お重に綺麗につまったお弁当にお酒、それから団子…。何か、団子の量が弁当より多い事には突っ込まないでおこう。


「いったいどうしたのコレ!?」

「花見がしたいと言ったら、海野が作ってくれたのだ!花見、するぞ!」

「はいはい…」



 
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