BASARA
□虫歯!
1ページ/7ページ
「旦那、待ちなさい!」
「いやでござる!!」
『虫歯!〜幸村激走!佐助暴走!〜』
穏やかな昼下がりに、校内を逃げ回る幸村を追いかけて爆走する佐助がいた。
その事件は数十分前に起こった。
「Hey!幸村〜!今日もお菓子持ってきたぜ!食うか?」
「頂くでござる♪」
「ちょっと政宗!何、旦那に餌付けしてんの!旦那も餌付けされないの!」
「ケチケチすんなよ」
「そうでござるよ佐助、そう騒ぐな」
政宗は毎日、幸村に何かしらお菓子を持ってくる。そうやって、幸村の気を引こうと頑張っている。健気?だね。
そんな政宗に対し幸村は毎日お菓子をくれる人な訳で…
『ちょろいな(ニヤリ)』
等と黒幸村がいることなど知らない政宗が哀れで可哀想な気もするが、佐助にとっては分かっていてもやっぱり気に入らないのである。
「今日はアイスクリームだ」
「頂くでござる!あぁ〜んっ……Σうっ」
幸村が政宗からアイスを貰い食べ始めたが、すぐ眉間にシワを寄せ固まっている。
「……(し、しみる、痛い)」
「?…旦那どうかした?」
「なっ、何でもないでござる」
慌てて否定する幸村が非常に怪しくて、佐助は幸村の顔を覗き込んで確認する。
「本当に?何かに隠してない?」
ブンブンとおもいっきり頭を縦に振るそんな幸村が怪しい、そう思った佐助は幸村からアイスを取り上げる。
「佐助!?何をする」
そして、幸村の目の前にスプーンにアイスのせ差し出す。
「旦那…はい、あ〜ん♪」
「うっ…」
「ほら、旦那」
佐助はどこか冷たい笑顔で、幸村の口にアイスを突っ込む。
「Σうぐ…いっ!」
「やっぱり、旦那…痛いんでしょ、染みるんでしょ」
「い、いや」
「嘘を吐くんじゃない!」
「佐助…すまぬ」
ゴスッ!
「グハァ!」
幸村は佐助の鳩尾にパンチをくらわし脱兎の如く逃走する。
「さ、佐助!?生きてるか?」
いきなりの状況に政宗は幸村の方を心配するより、目の前でピクピクと痙攣している佐助に声をかける。
すると佐助は不敵な笑みを浮かべ、クスクスと笑っている。
「クスクス、旦那…俺様から逃げられると思ってるの?…クスクス」
「おい、佐助!?何があった…顔は笑ってるが、目が笑ってねぇぜ」
「政宗…今日は感謝するよ」
「ハァ?」
いきなりの佐助の礼がよく分かっていない政宗をその場に残して佐助は幸村を追う。
「旦那ぁぁぁ!まぁてぇ!」
そして、今にいたる。