NOVEL2

□死因予知少年と超能力少女
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僕は人が死ぬのが分かる…

人を見るとその人の、

死ぬ時間…
死ぬ場所…
死因…

これらが分かってしまう…

その人の写真を見るだけでも
分かる…

それは9割型当たる…

たまに外れる…

何人も見てきた…

死ぬのは分かっているが
助けることはしない…

それは運命だから…

人が生まれて持った…






…宿命なのだから…












僕は片枚知晶(カタヒラ チアキ)…

現在15才…
公立中学に通っている
来年は受験をして高校に
行くはずの人間…

僕は能力のことを除けば、
ごく普通の中三…

勉強も運動もきわめて普通…
女子にモテる訳でも無く…

能力のことは誰にも
話していない…
話しても信じてくれないから…

僕は普通の学生だった…

彼女に出会う前までは…


























知「ふぁ〜あ…」

9月上旬…
やっと暑い夏が終わった…

只今AM8:20…
朝のHRが始まった…

担任が坦々と生徒の名前を
呼んでいく…

彼はもうすぐ死ぬ…

踏み切りでじゃれ合う小学生に
ぶつかり、誤って踏み切りの
中へ…そこへ電車が来て、
轢かれて死ぬ…

本人に言うつもりは無い…

きっと信用してもらえないから…

担任「今日は転校生を紹介する」

転校生…?

担任「入ってこーい」

ガラガラガラ…

そこにはなかなか可愛い
少女がいた…

少女「はじめまして!!」

元気がいい…

担任が"自己紹介を…"
と言う前に

少女「名前は、
誂崛瑠美(イドグチ ルミ)!!
言に兆でいど、山に屈でぐち!
瑠美はそのまま!!」

変わった名字だ…

男の数割が彼女にくぎづけ…
女は数割が"負けた…"という
顔をしていた…

担任「みんないじめるなよー」

誰がいじめるか…?
男子が護りたくなるような
女だぞ…?
せいぜい女子の
嫉妬掛かった嫌味くらいだろ…

担任「じゃぁ席は…」

担任は僕を見て…

担任「知晶の隣空いてるから
そこにするか!」

マジカヨ…

絶対話掛けられるじゃん…

いろいろ見えちゃうから
あんまり顔は見たくないのに…

彼女の跳びはねるように
僕の隣に座る…

瑠「ヨロシク!知晶君!」

ギロッ…と男子の視線…

知「あ…よろしく…」

出来るだけ顔は見ずに話す…

何故僕に…?
他にいるだろ誰か…?
よりによって…?











授業中もずっと話し掛けてくる…

瑠「知晶君の好きな食べ物は?」

知「パスタ」

瑠「知晶君の好きなタイプは?」

知「普段の奴」

瑠「知晶君の好きな言葉は?」

知「普遍」

瑠「テレパシーって信じる?」

知「まぁあってもおかしくない」

瑠「じゃあテレポートは?」

知「アリじゃない?」

瑠「私が超能力者だったら?」

知「そんなわけない」

瑠「私今日8時に起きたの」

知「よく間に合ったな」

瑠「テレポートしたから」

知「そうか…
…って…ハァ!!??」

瑠「私は超能力者」

知「……」

瑠「今テレパシーで話してるの」

知「何ッ!?」

瑠「だって口動いてないよ」

知「マジか…」

テレパシーだってのか…!?

とんでもないやつと
知り合っちまった…

瑠「廊下にいるときから
知晶君が担任の先生が
死ぬこと考えてたのを
テレパシーで聞き取ったの」

知「んな馬鹿な…!?」

瑠「死予知ができるんでしょ?」




驚いた…

僕以外にこんな人間がいたとは…



僕は彼女に全てを話した…
テレパシーで…

同時に僕は彼女の顔を
見てしまった…



彼女は…もうすぐ死ぬ…

時間…場所…死因…

それは分かる…

助けるべきなのか…?













明らかに一日で彼女と
友達になってしまった…

さっきの死因…

テレポートが出来れば…
回避出来るんじゃ…?

瑠「担任が死んじゃうのが
分かってるのに助けようとか
思わないの?」

知「思わない」

瑠「ふーん…
…私と知晶君がタッグを
組んだらどんな人でも
助けられるんじゃない?」

知「…まぁそうだな…」

俺が死ぬ人の死ぬ時間、場所、死因
を解析して、その時間になったら
瑠美のテレポートでそこまで
飛んで、その人助ける…

死因が急死とかじゃ無い限り
完璧に助けられる…

完璧な作戦だ…

瑠「ただ…テレポートは、
自分の両手に触れているもの
しかテレポートさせれないの…
片手は自分に触って
もう片方はテレポートさせたい
ものを触ればOK」

知「自分の体はテレポート
させないといけないから
結局テレポートさせれるのは
片手で触れるもの一つか…」

完璧じゃない…

僕の死予知だって完璧じゃない…

瑠「担任の先生…助けてみない?」

知「…え…」

瑠「担任の先生が死ぬ"予定"
っていつ?」

知「えーっと…―――













担任が踏み切りに近付いて来た…

知「来たな…」

瑠「じゃあ作戦通りに…」

知「了解」

結局…
瑠美に押し切られ救助することに…

作戦はこうだ…

まず僕が先生と話す

小学生が来る

ぶつかりそうになるところを
止める

失敗して先生が踏み切りに
入ってしまった場合は
瑠美がテレポートして、
踏み切りに入り、先生と自分を
テレポートさせて救助



まぁ失敗はなさそうだ…

ただ気にかかるのは
彼女の死因…

彼女も今日死ぬ"予定"なのだ…

死因は…電車に轢かれ死亡…

テレポートできるのに
轢かれるなんて…

そんなことを考えている内に

踏み切りが閉まり、
先生が踏み切りの前で止まった…

知「先生!」

担任「?」

先生のところまで走った

すると小学生が来た…

担任「どうした片枚…?」

知「先生!ここにいると
危ないんで――――

説明し終える前に小学生が
来てしまった…

ドンッ!!

予想外なことが起きた…

僕も先生も踏み切りに
入ってしまった…

瑠「な!?」

もう電車が来ている…

僕は死を覚悟した…

一瞬だった…

瑠美が僕と先生の前に
テレポートしてきた…

そして
両手を僕と先生に当て…

知「瑠美!!僕はいいから先生と
自分をテレポ―――

最後まで言え無かった…

瑠美は僕と先生を
テレポートさせた…

最後に僕の目に映ったのは
瑠美の満面の笑顔だった…

そして電車が来て…













瑠美は轢かれた。












記憶はそこから飛んだ…












知「…ん…?」

僕が目を覚ましたのは
天国ではなく病院…

どうやら踏み切りに入った時に
頭を打ったらしい…

頭に包帯が巻かれている…

隣のベッドには先生が
眠っていた…

よかった…

…で…瑠美は…?

電車に轢かれて生きている
人間なんているだろうか…?

瑠「やっほ〜起きた〜?」

病室のドアが勢いよく開いた…

知「瑠美!?生きてたのか!?
轢かれたんじゃ…」

瑠「テレポートした」

知「だって僕と先生を
テレポートさせて…」

瑠「そのあと自分をテレポート
させたんだよ」

知「そんな一瞬で出来るものなの!?」

瑠「出来るよ普通に」

知「時間が経ってからとか
じゃないと出来ないかと…」

瑠「アハハ!」

何はともあれ…

全員無事で良かった…

瑠「これからも一緒に
色んな人を助けて行こうね!」

知「こんなにスリルのあることを
また繰り返すのか…」

でも…まぁ

瑠美となら人助けも
悪くないかもって思った…

僕の死予知は久しぶりに外れた…

やっぱり完璧は存在しない…

同時に
瑠美のテレポートはほぼ完璧な
ことに気付いた…

負けた気分…



…ん…?

あの時小学生の方を
止めておけば楽だったんじゃ…?

もっと勉強しようと思った…













END...

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