パラレルグラフィティ


□さんぽ道-やすらぎの魔法-
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家に持ち帰った仕事を終えて、時計を確認したら、日付が変わってしまっていた。
集中していた分、疲労感がどっと押し寄せてくる。
そのまま机に突っ伏したくなるのを我慢して、足元で丸まって寝ている愛犬を揺り起こした。

「ソウ」
「くぅ…ん?…あれ、寝ちゃった…お仕事終わったの?」

ちなみに、うちの愛犬は言葉が喋れる…というか、耳と尻尾が付いてる以外は、ほぼ人間と変わらない。
始めはかなり驚いたが、今では、それが普通になった。

「あぁ。終わったよ」

まだ半分夢の中にいるソウに告げると、尻尾がパタパタと揺れる。
表情も動作もまだ眠そうなまま、ソウはソファに座っている俺の膝に跨がり、ぎゅっと抱き着いて来た。

「ごほうび〜」
「ん?」

待っていたご褒美が欲しいと言う意味なのかと思っていたら、甘い笑顔で口付けられた。どうやらご褒美を貰ったのは自分の方らしい。

「まー君は、お利口さん」
「ありがと、ソウ」

わしゃわしゃと頭を撫でれば素直に喜ぶ姿に、不思議と心が穏やかになる。

「明日は、たくさん遊ぼうな」

しばらく忙しくしていて、寂しがらせているから、明日は一日ソウの為に使うと決めていた。

「ホント!?」
「ホントだよ。ソウは俺が嘘つくと思ってんの?」

少し意地悪く言ってみたら、耳を後ろに倒して、ふるふると首を横に振る。
ちょっと可哀相な気になったので、額に唇を落として背中を撫でた。

「寝ようか」
「はーい」

ソウは膝から下りると、さっきまで包まっていたブランケットを、自分の道具箱に持っていく。
その間に、俺はベッドに移動して、戻って来たソウを呼び寄せた。

「おいで」

ベッドを叩いて促すと、尻尾を振りながら、ソウもベッドに潜り込む。それを受け止めるように抱きしめて、瞳を閉じた。
今日もよく眠れそうだ。


<END>

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