キス キス キス キス
キス キス キス
頭の先からキスの雨
何かのCMで使われてる歌が意識の片隅で他人事のようにリフレインしている。
なんとなく気分が晴れなくてタカを呼び出し「甘やかせ」と誘ったら、タカはいつになく甘ったるく「ハルのもやもやは全部俺が吸い取ってあげる」と体中丁寧に口づけて来た。いつものように意地悪をされる事もなく、ただ純粋に頭のてっぺんから足の先まで甘やかされる。どうせならいつもみたく強引に事を進めてくれたらいいのに、なんでこんな時だけ従順なんだと泣きたくなったが自分が蒔いた種なので仕方ない。
恥ずかしさで人が死ぬなら、今日だけで俺は3回くらい死んだ気がする。
「んっ…」
タカの唇が敏感な箇所を掠めて体が跳ねる。いつもなら恥ずかしくて暴れ出してるのに、羞恥心の限界を超えてしまうと抵抗する気にならないものだと気が付いた。
「…そんなとこより口がいい」
それどころか普段言えないことが、すらすらと口から出て来て困る。かなり末期だ。
穏やかに重ねられた唇から甘い痺れが広がる。しっかり繋がれた指を解き、タカの首に回して抱き寄せる。タカも自由になった手を俺の頬に添えて距離がより近くなった。気持ち良いって言うより心地好いの方が近い、静かな時間に流される。
「ハル、大好き。愛してる」
幾度となく聞いて、いつもなら耳がくすぐったくなるような言葉が今は心地好い。
「…もっと言え」
これはさすがに恥ずかしいな…と思いながら言ったら、タカは嬉しそうに唇を耳に寄せると「愛してるよ、ハル」と囁いた。じわりと顔が熱くなり「知ってるよ」と言い返す。
「ハルは?俺の事好き?」
「…分かるだろ。っつーか分かれよ」
「ハルは恥ずかしがり屋なんだから〜。いいよ体に聞くから」
「なっ!?ば、ばか!やめっ…!!」
「たーっぷり甘やかしてあげるから覚悟してね」
既に十分甘やかされた体は、艶めかしく動き出した手に抗う術を持たなかった。
<END>
寒くなると人肌が恋しいハル。
タカはそんな冬が大好き。