【My‥Regendia…】
□第四話
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「ラン…人ってなんて汚いんだろうね。」
「お兄ちゃん…?」
「ラン…お前に――」
人として、
生きる覚悟はあるかい――?
「お兄ちゃん!!」
「わっ!?」
「なっなんですか!?」
突然のランの上げた声はこの静かな森の中心に響き渡り、見事寝ていたガイ班のメンバー全員を起こす事となった。
はーはーと一点を見つめ続け異常なまでに息を吐きつづけるランに、テンテンが重たい瞼を擦りながら、伺う。
「どうしたのよラン〜…。いきなり大声出しちゃって…」
「…ラン、何か悪い夢でも見たんですか?」
「…………あ、いや何でもない。ごめんね…起こしちゃって…。」
にこりと微笑んだランに、テンテンやリーは疑問符を飛ばしたが、直ぐに寝袋に入り瞼を閉じると深く眠り出した。
朝から夜まで護衛の任務に付いていればそうなるのは当たり前の事だとは思う。
が、やはり睡魔には誰も勝てないのだろう事に自分を含めて苦笑するしかなかった。
ランは自分の手の平を見つめると、下唇をわからない程度に噛み締めた。
(こんな時に…あの時の夢を見るなんて…)
「まだまだだね、あたしも……」
今は自分は木の葉の里の下忍。昔の自分では、無いのだ。
ギュッと拳を作りその手を見つめれば、自分の中で覚悟を固められたような気がして気が楽になった。
バサリとブランケットを被り直し、夜営の中の静寂へと滑り込む。
そんな様子のランを木にもたれながら見つめていたネジは、微かに眉を寄せた後、静かに瞳を閉じた。
***
チュン…チュン…
「ん……あ、朝かぁ……」
護衛の任に着いてから三日目。
ランはまだ薄暗い森の中、一人目を覚ました。
ガイ班の一員となって3ヶ月。
木の葉隠れに来て初めての長期任務はチームメンバーであるネジ、リー、テンテンと共に奮闘していた。
今回の任務内容は、金持ち一家の若妻の護衛。
何でも夫に浮気がバレたらしく、家の全財産を持ち逃げするために木の葉に依頼したのだそうだ。
何とも関わりたくない任務内容詳細だが、任務は任務なのでやるしかない。
と言っても、今回担当上忍であるガイは他の任務で欠員となっているため、下忍である自分たちがこなしている訳で、たかだかがDランク任務。
隣の国までの護衛なんてネジとリーだけでも十分だが、何分油断は禁物なのでこうしてテンテンと自分も着いてきているというのが現状だ。
ランは一つ欠伸を噛み殺した後、立ち上がり服の乱れを直すと静かに辺りを見渡した。
テンテンの静かな寝息だけがランの鼓膜に届き、そこで寝ていた筈のネジとリーが居ない事からもう起きているのかと推測出来る。
ランは顔を洗おうと、昨夜見つけておいた清流へと急いだ。
さらさらと川に流れる水の音がランの耳に心地よく伝わる。
川岸に近寄り除き込めば、小魚たちの泳ぐ姿がキラキラと輝いていた。
両手を浸し、水を掬う。
自分の銀髪がその丸い円の中に鏡のように映っている。
そして顔に浸す。
ふるふると顔を振り、滴る水を振り分けた。
「ふぅー…。よし…!」
はつらつとする自分が想像出来て、またそれが高揚心を高め笑顔にさせる。
ポタポタ滴る前髪に構わず俯いたランは、いくらか醒めてきた瞳で今までの事を振り返ってみた。
ネジとのあの会話から3ヶ月経つ。3ヶ月ともなると、随分と里内や身の回りの事がわかってくる。
テンテンの大好物が中華まんだという事。
ガイの言わずとも知れたライバルが、コピー忍者の"カカシ"という人だと言う事。
しかもそれは一方的にガイがライバルだと言っているだけだというなんとも不確定な事実の事。
リーがネジを一番のライバル視をしていること。
ネジが以外にモテるという事。
「……そりゃ、結構っつーか変に真面目だし………優しいとこもあるだろうけどさ。」
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