NOVEL

□六番隊のみで有効な休みの取り方。
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なんとかも寝静まる時間だってのに、俺はまだ六番隊の執務室にいる。
理由は簡単だ。
うちのシスコン隊長のいじめだ。
この前ルキアと遊びに行ったのが、気にいらなかったらしい。

だからってよ、簡単だけど時間のかかる書類を一晩でやれってんだからよ。
無理に決まってる。

「はぁ〜」

ルキアにとってみれば、冷静沈着な頼りがいのある兄貴なんだろうけどさぁ〜
俺にいわせりゃぁ、シスコン隊長で、義妹の事に関しちゃぁ、かなり了見せめぇぜ。
しかも、それを義妹に分かんねぇようにやるから質が悪いんだよ。
どうにかしてくれよ。

愚痴ってても仕事は終わんねぇな。
できるとこまでやっとくか。

コン、コン

窓の方を見ると誰も居ない。
扉か?
扉を開けても誰も居ない。
風のいたずらか?

「こっちだ、恋次。」

窓枠の外に居たルキアは出来る限りの背伸びをしているが、見えるのは顔だけだ。

「お前、一人じゃねぇだろうな?
女が一人で、歩きまわっていい時間じゃねぇぞ。」

「何を言っておる。
私だって死神だぞ。」

…そういう問題じゃねぇから。

「隊長は知ってんのか?…知らねぇよな。
知ってたら、一人で越させるはずないからな。」

大きな溜め息が出た。
何もなかったからよかったけどよ、なんかあってからじゃ遅せぇんだからよ。

「仕事の方は終わったのか?」

「否、まだだけどよ。
なんでお前が、知ってんだよ?。」

隊長がルキアに言うはずねぇから、どうして俺が残業してるの知ってんだ?

「昼間十番隊に書類を持って行った時に松本殿が、教えてくれた。」

乱菊さん…余計な事を。

「可哀相だから、陣中みないに来てやった。
ありがたく思えよ。」

「はぁ〜」

額に手をあて、目を閉じた。
この義兄妹は、変なとこだけは似てやがる。

「どうした?恋次。」

怪訝な顔して見上げるルキアに言ったところで分かんねぇよな。

「なんでもねょ。」

イライラして、頭を乱暴にかき乱た。

「お前帰りはどうするつもりだ?
まさか一人で帰るつもりか?」

「そのつもりだが、問題があるか?」

あります。
なんでこんなに大雑把なんだ!
ありえねぇから。

「はぁ〜、しょうがねぇな。
送ってくから、中入って待ってろ。」

「大丈夫だぞ?」

「いいから、待ってろ。」

強制的に待たせる。

表に廻ろうとするルキアを呼び止め、窓から引き上げた。
引き上げた時にいい匂いがする。
思わず抱き締めてしまった。

隊長のせいで残業になったんだから、これくらいはいいだろ?

「恋次、キツい。」

腕の中で小さくなっているルキアが可愛かったからか、さらにキツく抱き締めてしまった。

痛いと訴えてきたルキアを離すと少しばかり涙目になっていた。

「悪かった。」

すぐ終わらせるから、そこにそこに座って待ってろ。」

「分かった、急げよ。」

納得はしてないみてぇだから、キリのいいとこまで急いで終わらせねぇとな。






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