NOVEL

□Trick or treat
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「Trick or treat」

声がする方を見れば、ひょろひょろとした先の折れた帽子に黒の外套、なんでだか竹箒を持ったルキアがいた。

「恋次、Trick or treatだ!」

ルキアは楽しそうに腕を江突き出しているが、なんの事やら見当もつかない。現世の遊びか?

「ノリの悪い奴だな、ハロウィンを知らんのか?」

長々と説明してたが、ガキに菓子をやらねぇと悪戯される日って事か?

「んで、なんでそんな格好なんだよ?」

外套の下は黒のワンピース。惜し気もなく細い脚をさらしている。白く柔らかそうな二の腕にクラクラしてきた。

「これは西洋の魔女と言うものらしいぞ!井上がこの日の為に作ってくれたのだぞ!」

くるりと廻ると揺れるスカートの裾から見えた太ももにやましい気持ちになる。
無邪気なガキみたいに笑っているルキアはある意味本物の魔女よりヤバいと思うぜ。

「早くせぬか、恋次。
この後も回らなくてはならんのだからな!」

「・・・・回る?その格好で?何処を?」

「兄様の所と松本副隊長の所と十三番隊と檜佐木副隊長の所だ。」

眩暈がしてきた。
一番聞きたくない名前だな、それ。乱菊さんと檜佐木先輩の所に行かせるってのは狼の群れに子羊放り込むってのと同義語だろう。

「隊長と十三番隊は分かるけど、なんで乱菊さんと檜佐木先輩の所なんだ?」

「ハロウィンの事を松本副隊長をお教えしたら、檜佐木副隊長がそれを聞いて瀞霊廷通信で特集を組みたいとおっしゃったのでな。」

さも凄いだろう、と言わんばかりに立てた箒をトンと言わせた。
あ〜あ、やっぱり分かっちゃいねぇ。乱菊さんと檜佐木先輩の所に行ったが最後、無事に帰って来れねぇつうの。





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