PROSE U

□無題
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狂おしの薔薇は紅く染まる
ただ時折その雫を滴らせて

僕は君に狂った薔薇になる

僕は求めて止まない誰かを、
何かを、
君に例えて狂うんだ

桜が美しい
そう思った桜は狂い咲き
綺麗な桜は舞い散り、僕に纏わり付く

離さない

放せない

手を広げて向かうのは痛みの先か、
救いの先か、
慰みの先か、
『君』か

僕は何処に向かうのか

何かが足りなくて
補いたくて
求めるのに失くすばかりで

僕は底無しの沼に嵌まっていく

伝わらない感情は暗闇に埋めて
幾度となく逃げ回り
ぶつかっては彷徨う

生まれ落ち、生きては、揺れ、迷う僕
行き着いたら死に行くだけで
生まれ変わりなど望んじゃいない
果てなき空に飲まれるか
冷たく固い地に染み込むか
行く先は分からず
意味など分からず
だけどそれさえも求めて僕は足掻き続けてる

生きる事は辛い
何度思った事だろう
死にたいと願ったのも数え切れないほど
それなのにまだ生きてる理由は
僕自身も分からない

死ぬのが怖い
生きてみたい
願いがある
それを叶えたい
したい事がある
負けるのは嫌なんだ
だから生きる
だから生きた

他にもある理由はまだ不確か
もしくは僕が気付いていないだけで存在する
気付きたくない理由もあるから

きっと
隠して
思い出して
ほら
生きなくちゃ
そうやって無理に背中押して
何とか足を進めて

良い事も
悪い事も
僕の目の前にやってきた

乗り越えて
踏み越えて
僕は来たよ

乗り越えて
踏み越えて
『君』は来たのかな?

嗚呼、僕は
果たして『君』に会うまでに
狂わずにこの身を残しておけるのだろうか

僕は狂って、狂い死ぬのだろうか

この道を辿り、辿り着けないままに

花道は紅く染まっていく

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