PROSE T

□始まり
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僕の街に白猫を一匹だけ放してあげた
何もなかった空虚な物語に少しだけ色付けてみたかったんだ
もしかしたら誰かに語り継がれるかもしれないと
慌てた僕はおかしいのかな?
一人歩いた足音の世界
響いてるの?
静かな音色に何となく黄昏てみたり
あの白を見つけて幸せな歌を口ずさんでみた
僕は何色だったろう
この街は?
白じゃない
あの猫が見える空間はけして白じゃない
そして白を抱いた僕も
白にはなれない
空は白い
地は白の様
見渡せば白と影
僕の影と猫の影と街は影を携えて
僕の腕の中にはいつの間にか
黒い色
白猫が一声鳴くと違う音が訪れた
僕の腕から黒猫が飛び出す
白と黒
物語はゆっくりと歯車を回す
世界は廻る
出逢ったんだ
白猫と黒猫と灰色の僕
色づいた世界が始まりを告げる

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