◆第4幕・Sugar。

□ユビキリ。
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†ユビキリ。




「ねーねー!剣ちゃあん!!」

見て見てー!!



やちるが大はしゃぎだ。



「耳元で喚くなよ。五月蝿え」

――全く。

女子供は、烏みたく。
『光りモン』てヤツが好きだ…


涅の野郎。
面倒なモン作りやがって!!



さっきから視界の端を。
金だの銀だの。


ちかちかちかちか…


――ああ!欝陶しいぜ!!



やちるは、そのツリーとかが、余ッ程気に入ったのか。


「きらきらー!きらきらー!」

と。朝からご機嫌だ。



ふー…

ため息をついて。
酒を一気に煽った。


あまり美味くねえな。
――今日の酒は。



「だって!X'masだよー!!」

ああ?


X'mas――なあ…


おめえ…

「X'masつったら…もっと――」
こう…

「静かに、しっとり過ごすモン――なんだろが」


弓親の受け売りだ。



と。
何故か、やちるが驚いた顔で。
――黙り込む。


剣ちゃん、て――…



「ロマンチストなんだねー!」

あはは!


「――ああ!?」


何言ってんだ、コイツ?


「そっかあ――剣ちゃんてば、
『ロマンチックなX'mas』が過ごしたかったんだねー!!」

ゴメンね。剣ちゃん。



やちるが、にっこり笑った。



静かに。
ロマンチックに、だね!

――剣ちゃん。




後は――ただ黙って。
外にちらつく雪を眺めていた。





――ふと。
やちるがこちらに向き直り。


「あたしが大っきくなったら、晩酌のお供するから――」

それまで我慢してね。


やちるは。
そう――言って。


自分の小指を。

無理矢理。
――俺の小指に絡めた。




「…あ?」
「えへへ…剣ちゃん約束ね!」


そう言って抱き着いてくる。



「………………………。」


――勝手にしろ。




酒を杯に注ぐと。
一口、啜る。



さっきよりは。
何だか――…


酒が、幾分。
美味い気が――した。





END.




アトガキ。


リリカルな剣ちゃんを狙って失敗気味…

何だかんだ言って。

やちるちゃんが他の男に貰ったモンに夢中で、
自分が構って貰えないのがつまんないんですよ(笑)

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