◆第4幕・Sugar。

□SHOWDOWN.
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手の内は。


見せたらあかん。
読まれたらあかん。


面倒やな。


――ああ?

それが”ルール”やねんて?



せやかて。

勝ち負けで言うたら。
自分ハナッから、負けやんな。




†SHOWDOWN.



「――にボサッとしとんねん!
このハゲシンジッ!!」
「だあ―――――ッ!!!」


突如、背後から。
全体重掛けた強烈なケリ。


「――何すんねん!!」

振り向くと。
目付きの悪い彼女が仁王立ち。

「腑抜けたツラ晒すお前が悪いんじゃボケエッ!!」

おま…っ!ハゲさすぞコラ!!


「…おう!」

間一髪。
ケリ第二弾をかわす。

相変わらず乱暴さんやなあ。


「………………チッ」

舌打ちかいな。
ガラ悪ッ!


「メシや!メシ!!無くなっても知らんど!!」

ジャージのズボンをずり上げながら、一気にまくし立てる。

鼻息と口調の荒さと裏腹に。
律儀に呼びん来る、面倒見の良い彼女に――苦笑してまう。


「すき焼きや!すき焼き!
ローズがさっき、エエ肉仰ッ山買うてきたんやで!」
「今行くわ。せっかちやなー」




”此処での最後のメシ”。
になるかもしれん――というのは御免やけどな。

なんて。
冗談でも口に出したら、まずはどつかれるんやろが。
(今もどつかれとるが)

負けん気ィ強い彼女の前では、迂闊な台詞は許されんしな。


「虚圏で、藍染のスカシた横っツラ張っ倒したるわ!」
「おーおー。頼もしいこっちゃなー。楽しみにしとるわー」


不敵な笑みは昔のまま。

口の悪さは変わらない。
気の強さは変わらない。

――慣れたやり取り。


あの日より前と。
あの日より後も。


…変わらない――んや、な。




不意打ちに。

違うモノへと変えられ、行き場を無うなった。


――あの日。


一人だったら?
一人だったら。


闇ん中。
突き落とされる恐怖感を。

喰らって。


自分の意思。
自分の意志。

違う何か。
或るいは、同じ――何か。


皮膚の下を。上を。
意識の下を。上を。

這い、

縺れて。捩れて。蠕く。


――何か。


あの。
けったくそ悪い感触を。
忘れることは――ないんや。



それでも。

彼女と同んなし、”異形”へと変わった事に。

心ん底で安堵を覚えとる。
とは。
――軽蔑するやろか。


「何、ニヤついとんじゃハゲ。
胸クソ悪いわ!!」
「キツ!!」



彼女と”同じモノ”。

と。
いう事実。
に。

笑い。
が。
込み上げ。
て。

そ。
れは。


恍。
惚に。
も。
似、てい――る。


感、覚。



「モタモタしくさったら、藍染と併せてブッタ斬ったるわ!」
「…………………あんなー…」


本気ともつかない物言い。

本気でないことは、知っとる。


――やけど。
最近の機嫌の悪さは何やろな。



ややあって。

ふー…
と。彼女が溜め息吐く。



やめや、やめ!
「メシ冷めるわ、早よしいや!
さ。肉めっちゃ喰ったるでー」


踵を返す彼女。

華奢な背中。


「せやな。前だか後ろだかよう分からん躯から卒業やな」
「うっさいわ!」

目付きの悪い彼女の目が、一層吊り上がる。

ビシッ、と音がしそうな程に。
人差し指を突き付けられた。


「お前の分まで腹一杯喰って、目え見張る様な
ナイスバデイになったるわ!」

あの、姫いう女に負けへんで!


「……………………ほー…?」



…んあ?




あー織姫ちゃんか…?



――それが本音か。
根に持っとったんやな。


自分が言った、”その言葉に”気付いたんか。

立ち止まる。

そして突然どかどかと。
わざと音を立てて歩く。


笑いを堪えた。



精一杯背伸びして。
でもって、よろけとけ。



口に出したら負けや。
手の内晒したら負けや。

多分そない”ルール”やんな。


”勝ち負け”

――どやろ?


勝ち負けで言うたら。
自分ハナッから、負けやんな。


それでも。多分。きっと。



降りれん"トコ"におるんかな。

とか。
思ってみたりするんやけど。



END.




平ひよ。
随分前に書いてたんですが。
市乱UP宣言した手前、UPするのはどうだろう。
――とか思ってた。


流石に、宣言しといて、
「何十日も更新無し!」ゆーんは躊躇いが…

ひよ里んの強がりも、
「可愛いやっちゃなー」
と思ってる平子くんを書いてみる。

…エセ関西弁ですが(笑)

むつかしいなー。


個人的には。
アンカフェ聴いてるとcapsule並に文がサクサク進むよ、と実感(当社比30倍)

文章の出来の善し悪しは置いといて…

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