凛の瞳 本文

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『正午に並盛中の屋上に来い。遅れんなよ。 リボーン』

「うーん、どうしたんだろリボーン君……」


朝目覚めたときに、さりげなく枕もとに置いてあった置き手紙。それを日光に透かせながら私は独り呟いた。

用事なら家で話せばいい。もし並中である必要性があるなら、ツナ君達に関わることなのかも。
いまいち意図のつかめない彼の行動。何となく胸騒ぎがした。

うーん、気のせいだといいけど……

そんなモヤモヤを抱えながら、私は今並盛中の校門の前に立っている。
よく目を懲らして見ると、校舎の時計は11時45分を差していた。


「屋上って行ったことないや。大丈夫かな……」


でもまあ、きっと校舎を上へ上へって行けば着くんだよね。うん。
ツナ君の教室を見つけるよりははるかに簡単なはずだ。

独りで納得し、私はゆっくり前進した。誰もいない校庭を端に沿って歩く。
さすがにド真ん中は通り辛い。校舎から丸見えだもん。

そわそわしながらやっとのことで生徒用昇降口の前までやってきた。


「ここから入っていいよね?」


いいよね。と、何度も誰かに同意を求めそっとガラス製の入り口を潜ろうとした。




「――何やってるの?」

「――っ!!!」


後ろからそんな声が聞こえたのは、まさに私が足を踏み入れようとしたその瞬間のことだった。

び、びっくした……。
誰もいないと思って安心しきっていた矢先のことで、尋常じゃないくらい心臓が飛び跳ねる。
声にならない叫びをあげ、石のように固まった私。


「ねえ、何してるのって聞いてんだけど」
「――あ、あの私、えっと、怪しい者では決してないです!」


低い声でそう聞こえたので、慌てて身の潔白を主張する。
振り向くとそこに立っていたのは並盛中の生徒らしき人だった。
スラッとした長身で、前が少し長めの黒髪。そしてその目は鋭く、眉間には皺が寄っている。

あまり穏やかな表情ではない。もしかして、怒ってる?
尖ったような目がさっきからずっとこっちを見ているんですが。


「怪しいかどうかは僕が決めるよ。で、質問に答えてくれないかな」
「そ、そうですね失礼しました。実はある人に呼ばれてここに来たんですけれど…」
「この学校の生徒とか?それとも職員?」
「えーっと……なんて言えばいいんだろう」


「答えないと君を不法侵入とみなして咬み殺すよ」

「―――へ?」


急に言われたその言葉に、思わず変な声を返してしまった。
どうしてそうなるの?っていうかそれで怒ってたのかこの人。


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