まるで

金魚鉢の金魚みたいだと

思いませんか?





艶やかに
  しなやかに





それから慎吾さんは毎日約束通りにやってきては俺を御座敷にあげてくれた。


雨の日も雪の日も

桜咲く春、
蛍光る夏、
紅葉散る秋、


本当に毎日。


「なんでここまでするんですか」
「‥‥。何度好きだと言わせれば気が済む?」
「あっ///」


思わず顔を赤くして俯く。
その様子を見ながら慎吾さんは笑った。




不思議な気持ち。
知らず知らず俺はこの人に惹かれていて、一緒に過ごしている時間が嬉しくて、


約束の一年目を迎えて、そっと抱きしめられて感じた温もりが永遠のものであるような錯覚をした。





「ねぇ準太、」
「ぅあ、はい!」
「大丈夫?ぼーっとし過ぎだよ」


今は慎吾さんじゃない客の御座敷。最近様子がおかしいと山さんに言われた。


「島崎さんとなんかあったの?」
「いや、その‥‥」
「恋するのは勝手だけど、辛いのは準太だってちゃんとわかってるんだよね?」
「‥‥」
「中途半端で近づくのはやめなよ」


山さんの言ってることは正しい。
だって、いつまでも一緒にいられるなんてことはないんだ。


でも‥‥




「準太‥‥?」



もう少しだけ、あの人の横で夢をみついたかったんだ。


誰かを愛し、愛されて、

そんな《初恋》のような甘酸っぱい感覚を――――









三年の約束まであと一日。

一年前、初めて口づけした時、泣きたくなったのを思い出した。



「準太、明日が約束の日だ」
「‥‥」
「やっと、お前を手にいれられる」


強く抱きしめて、
そっと唇を重ねて、


「好きだよ、」
「慎吾、さん‥‥」


さよならまで

あと少し




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