A
□片恋
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それから梅と梶をほとんど無理矢理連れて飲み歩いた。そんでいい加減にしろと二人に怒られ、渋々家に帰ったのは午前2時。
(あれ?俺電気つけっぱで家出たっけ?)
真っ暗な中、俺の部屋だけカーテン越しに光が漏れている。
鍵は開いたままだった。
まさかと思って部屋に入るとそこには泉がソファーに寝転んで小さく寝息をたてていた。
「‥‥泉‥」
呟くように名を呼ぶと泉はそっと瞼をあげた。
寝ぼけたように何度か瞬きをして、焦点が俺に合ったら不機嫌そうに眉を寄せた。
「どこ行ってたんだよ」
「え?あ、‥‥梅原と梶山と飲んでた」
「ふーん」
ふいっとそっぽ向く泉。
その手に俺のシャツが握られていたのを俺は見逃さなかった。
「ずっと待ってたの?寂しかった?」
「んなわけねーだろ!寂しくなんか‥‥」
「じゃあコレ何?」
「コレは‥、その‥‥、寒かったから!」
「ブランケットでもかければいいでしょ?ある場所わかるだろうし、こんなのよりずっと暖かい」
「ッ‥‥!」
真っ赤になって泉はまた顔を背けた。
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