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□絆
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あの日の出会いが、私の人生を変えたのだと今でも思っている。
あの日、部室にある椅子に座って窓の外を見ていた彼女の横顔は綺麗で、儚げで、どこか哀しそうだった。
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「‥‥え、‥合唱部‥ないの?」
高校に入学すると同時に群馬から埼玉に引っ越してきた私が入学したのは西浦高校。
中学までずっと合唱をしていた私は高校でも続けるつもりでいた。シュウちゃんとも約束した。
しかし、この学校に合唱部は存在しなかったのだ‥‥
「‥‥どうしよ‥」
なんの取り柄もない私。
好きなコトと言えば歌うコト。かといって取り分け上手いわけでもなく、大勢の声で隠れることができる合唱が大好きだったのだ。
「‥‥あれ?」
何処からか聞こえる歌声。
自然と足が声の聞こえる方へと向いた。
「軽音、部‥?」
そっと扉を開けるとたった一人、窓の外を見ながら歌を口ずさむ少女がいた。
思わずその歌に聞き惚れていると、後ろから肩を掴まれた。
「‥‥ひっ!?」
「入部希望者!?入って入って♪いずみ〜、一人捕まえた〜!」
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