森林のトンネル‡小説
□君と僕 2
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「きたんだね」
少年は影に向かって言った。
「うん」
影は答えた。
影の正体は、前回会ったあの少年だった。
「はい、どうぞ」
少年は、影の少年に缶ジュースを渡した。
それは、もう一つの袋から取り出したものだ。
「いいの?」
「うん。君がくると思って、買ったものだから」
影の少年は、小さな笑みをこぼし、
「ありがとう」
と、言った。
それから、プルタブで飲み口をあけ、喉を潤した。
少年は、それを見てから、また、本を読み始めた。先ほどまで読んでいた本だ。
影の少年は、ジュースを飲みながら、少年のほうを向いて、本と少年を交互に見た。
少年はそれに気付いて、声をかけた。
「どうかした?」
「いや、なんでも、ない」
影の少年は、そういいつつも、少年と本を交互に見ている。
「もしかして、これ読みたいの?」
少年は、影の少年に聞いた。
影の少年は、それを聞いて、ピタリと止まった。
「なんだ、読みたいのか。いいよ、読んでも」
少年は、影の少年に読みかけの本を渡した。
影の少年は、嬉しそうにしたが、少しだけ顔が曇った。