森林のトンネル‡小説
□君と僕
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昼過ぎの公園。
一人の少年は、買い物帰りに寄り道をした。
君と僕
ぽかぽかと暖かく、とても気持ちのよい日。
少年は、本屋の帰りに公園に寄り道をした。
ここの公園は、お昼になると静かになる。
それは、子供たちがお昼を食べに、家に帰っている時間帯だからだ。
「さぁーてと」
少年はそういうと、買ったばかりの本を取り出し、ベンチに座って読み出した。
本の題名は『星の数ほど・・・』
内容はいたってシンプル。
星の数ほど、という言葉の後に言葉が続き、それに対してのコメントが載っているのだ。
「・・・」
少年は集中して読んでいる。
だからであろう。
少年に近づいている、影に気が付かないのは。
パラリ、パラリとページをめくっている。
そのたびに、影もまた少年に近づいていく。
それでも、少年は気が付きはしない。
少年が最後のページをめくり、本を読み終えると、影は少年のすぐ近くにいた。
影はしゃべった。
「ねぇねぇ、その本おもしろい?」
少年はふと顔を上げた。
そこには、小学1〜2年生辺りの少年がいた。
少年はもう一度聞いた。
「ねぇ、その本おもしろい?」
少年は、一瞬ぽかんとしたが、少年の問いに対してきちんと答えた。
「あぁ〜。人によってさまざまじゃない?」