赤い糸、低い音
繋がるのは、私と、あなた
五弦
暗いライブハウスの中。
煙たいその中で、壁に寄り掛かって、訪れている人々を見ていた。
私の横に立つ友達は、ライブの開始を今か今か、と待ちわびているらしく、そわそわしている。
その様子を見て、彼女にチケットをもらった日のことを思い出した。
本当は他の友達と来る予定になっていたけれど、その友達が具合を悪くして来れなくなったらしい。
その代わりに連れてこられたのが私、というわけだ。
開演時間が迫ってきて、少しずつライブハウスの中は人の密度を増していく。
乗り気ではなかった自分も、その不思議な高揚感に乗せられて少しずつ期待を膨らませていた。
しばらくしてストン、と落ちた照明と、鳴り出したSE。
女の子達の歓声が響き渡ると、硬く握られた拳が人々の上に突き挙げられて。
ステージの上に、4人の男の姿が見えた。