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□声、届いていますか
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山本はヴァリアー邸へと向かっていた。
今は上司でもある親友に頼み込んで休暇を取ると、居てもたっても居られず、その足で。
邸内に入ればやはりどこか空気が違うことに気付く。気付けば療養中だという恋人の容態が気になるばかりで、脚を早めて屋敷内へと進む。
「あらぁ、タケシちゃんじゃなーい」
『あ、ルッス!』
何度か訪れた邸内を慣れた足取りで奥へと進んでいけば、レースのあしらわれたデザインは可愛らしいエプロンを身に纏ったオカマが姿を見せた。
「スクアーロのお見舞いかしら?」
『おう、…具合とかどうなんだ?声、出るようになった?』
「それは自分で行って確かめたほうが早いと思うわよぉ?」
意味深なサングラス越しのウインクを残して去って行くその後ろ姿を眺めつつ、その言葉に不安が募るばかり。
廊下を歩けば刺さるほどに感じるヴァリアー隊員の視線も無視して、漸く到着したスクアーロの部屋の扉を勢い良く開ける。
『っ、スクアーロ!』
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