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□CARDINE
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あの子には羽根が生えてるんじゃないかと、時々思う。




CARDINE





彼はまるで蝶のようだ。そう表現するのもあながち間違っちゃいない。

もちろん見た目云々じゃなく。


その背中、羽根でも生えてるんじゃないの?


ここから見える君は、その背中のもので自由に飛び回る、蝶。
目の端に入る鮮やかな色彩は、神経を刺すように記憶を残す。





「ヒバリ!」



こっちに向かって手を上げて、笑みを浮かべる君がいて、それを避ける僕がいる。



窓に背を向けてカーテンを閉めてしまえば、一瞬で別の空間になる。土臭いだけの風も、眩しいだけの陽光も、意味を為さない。耳を澄ませれば、もう君は他の奴と話してる。


ああ、イライラする!




僕だけじゃ満足しないっていうの?随分欲張りじゃない。
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