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□声、届いていますか
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どうにもこうにも、困ったことに、なった。
そんな顔をスクアーロが見せるのはかなり珍しいことであって、端からすればただ面白いだけであったが。
当人にとっては
深刻な問題であった。
「声、届いていますか」
スクアーロの、声が出なくなった。
もちろん、喉が潰れたとかではなくて。
単なる風邪である。
それでもヴァリアー邸では一大事であったのだ。
屈強な猛者が集う中、幹部が病気になることはまず珍しい。
そして、それがスクアーロだということも一種の悩みの種。
気位の高く気難しい暴君は、病室にいる病人のもとへ行く労力を使う訳もなく、ままならず日々の鬱憤が晴らせず何時にも増してご立腹だし、
他の幹部にしてみても表向きは見舞いという名称であれど、病室に押しかけてはベッドに横になる姿を眺めて様々な騒ぎを起こす。任務が滞るのも頷ける。
さらに隊の部下にすればめったにない上司の体調不良にあたふたするばかりでどうにもならない。
スクアーロにしてみれば、頭痛の種が増えただけであり、溜め息が零れるのも必然というものだ。
山本がその噂を聞き付け、ヴァリアーを訪れたのは噂を聞いた翌日である。
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