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□これが恋だというのなら
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今までの、恋だと信じて疑わなかったあれらは、なんなんだったんだろう。
「これが恋だというのなら」
窓の外は今日も雨が降っている。目をやらなくても、耳に届く雨音がそれを伝えてくれるわけで、無性に外へ飛び出してみたくなる。愛しいジャポネーゼの化身は、きっと優しくオレをみたしてくれるに違いない。
「ボス、手が止まってるぜ」
「…分かってるよ」
そうは言っても、ここに大人しく座ってるだけで奇跡に近いんだ。思うことくらい許してくれよ。
「まるでガキの恋患いみたいだなんて、情けねぇぜ。」
なんせもう三ヶ月も見ていないんだ。
健気なあいつのことだから、今もきっと笑っているに違いない。ツナやスモーキンボムならごまかせるだろう、ちょっと眉を寄せて頬を掻く、あの表情で。
―――――
出会ったときから、何かが違うと感じていた。
まだまだ子供だっていうのに、やけに落ち着いた雰囲気と、垣間見えるオレたち側独特の視線。
けど、オレがタケシに堕ちたのは、
その類い稀なる純粋さからだった。
心からの笑顔を見せるタケシは、最高に可愛かった。
自慢じゃねぇが、オレだってそれなりに女とは数え切れねぇほど付き合って、いいと思える女も二、三人いた。
それ以上に、
あんなにきれいに笑うひとを、見たことがなかった。
あんなにきれいに泣くひとを、見たことがなかった。
あいつ以上に、純粋だと思えるひとを、見たことが、なかった。
そう思うのは多分オレだけじゃない。とにかく、眩しいくらいの純粋さに、惹かれた。
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