オリジナル小説部屋
□1話:悪戯は程々に
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遼介は、枩乃介の部屋の机の端のほうにある、ペン立て(中身は入っていない)のほうに避難する。其処がいつもの、遼介のお気に入りの場所なのである。勢いをつけて、腕の力でよじ登り、ペン立ての中に入り込む。そして、半分顔を覗かせて枩乃介に避難をこめた視線を送る。
「そう、睨むな。ほら、服着ろって」
苦笑いしながら、枩乃介はその視線を受け取る。そして、遼一郎にいつも着ている服を渡す。
「…」
その服は、真っ赤な生地で作られており、着物に似た構造をしていた。遼一郎の体のサイズに合った大きさである。…手作り?
「ほら、風邪引くぞ?」
そういって、遼一郎が入り込んでるペン立てにそっと服をかける。