三国志書物1

□紅紅紅
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紅い 紅い 紅い 世界の全てが紅い
熱い 熱い 熱い 失った眼球の窪みが熱い
痛い 痛い 痛い ずっと消えないとさえ思える痛み


怖い―…

何もかもが紅い世界 誰もいない 痛いほどの沈黙
狂い そうな  世界   を   一人で

彷徨って






「惇」

静かなお前の声が聴こえた 残っている瞳をゆっくりと開く 其処にはぼやけたお前がいる

「惇」

お前の頬に手を伸ばす  けれど 指は 唇を掠めただけで

「―――…」
お前は黙って 俺の手を取り 自分の頬へと 導く

「      」

温かいお前の頬と冷たいお前の手の感触は 不思議と 俺の眠りを誘う

「生きててくれて
       感謝するぞ…」

お前が 何を呟いたのかは 上手く 聴こえなく  俺は 
闇へと  落ちて行った 
不安は消えて 
暖かさが残る眠りの闇へ――…
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