三国志書物1

□紅紅紅
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矢が 眼球に刺さっていた じくじくと 響く痛みがかすかに残る意識を支配する

辛うじて動く右手を 矢に触れさせる 鋭い痛みが走る

痛い 痛い 痛い その痛みは消えない

ぐっと矢を握る そして 思い切り引き抜く

嫌な感触が 手に伝わる 何かが ぶちりと 切れる

矢に刺さったのは 己の眼球 それからは白い 紅い糸が ぶら下がっている

自分の周りにいる兵が息を呑む その音でさえ 聴こえる
そして

俺は  己の  眼球を

喰らった
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