FIAMMA

□廻る命は誰が為に
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「はあっ・・・・・・疲れたぁ・・・・・・」

最近頻繁に起こる抗争、そしてその度に溜まっていく書類の山。
仕事を終え、熱いシャワーを浴びてやっと解放された綱吉の身体は、ぐったりとソファーに沈み込んだ。

「・・・・・・・・・疲れたなあ・・・・・・」

それ以外に言葉が出てこないほど、綱吉は疲弊していた。
一週間前から、合計三度もハイパー死ぬ気モードになっている。
過去に比べれば死ぬ気による疲労など大した事はなくなっているが、いかんせんその他の仕事が多すぎた。
もう一度深い溜め息をつき、手を電話に伸ばす。

「リボーン?あのさ、ちょっと・・・ほんのちょっとでいいから・・・休みが欲しいんだけど・・・・・・」
「あ?休みだ?お前今のボンゴレの状況わかってるか?」
「う・・・・・・。そりゃあ、連日の仕事の数を考えれば、まあ・・・」

連絡をとった綱吉自身、この願いが叶わないのはわかっていた。
それでも、言うだけ言ってみたかったのだ。

「でも、もういいよ。そう言われるのわかってたからさ。じゃあ、おやすみ」

電話を切ろうとした時、小さな舌打ちの音が聞こえた。

「しょうがねぇな。三日だけやるから、戻って来たらその倍働け」
「えっ!?休暇取っていいの!?」
「そう言ってるだろうが。いいか、倍だからな?四日目の始業に間に合わなかったら、三倍な」
「あ、はははは・・・・・・。けど、ありがとう、リボーン」

フン、と突っぱねてみせるのは、実は照れている証。
リボーンにも結構可愛いところがあるのだと、十年の間に知った。

「で?何処に行く気だ?別邸か?」
「そうだなあ・・・。どうせ三日も貰えたんなら遠出がしたい、かな?」
「国外なら、すぐにチケットを手配する。とっとと決めやがれ」
「どうしよ・・・・・・。えっと・・・・・・」

決めかねて、何となく部屋を見回した。

「あ・・・・・・・・・」

目に映ったのは、カレンダー。
山本に頼んで、去年の暮れに日本から帰郷土産として貰った物だ。
時は既に四月の後半。
けれど、東北の方ならば、まだ・・・。

「リボーン。おれ、日本に行きたい」
「わかった。守護者は何人連れて行く?」
「一人でいいよ。こっちをちゃんと守ってもらわなくちゃいけないし、大勢で行くと療養にならないからね」

思わず笑いが零れてしまうのは、綱吉が守護者達の性格をよく知っているからだ。
誰も彼もがボスを大事に思っていて、リングの持ち主が全員集まる度に、毎回大騒ぎが起きる。
懐かしい日本に皆で行こうものなら、どうなる事か。

「それも楽しそうでいいけど、今回は体を休める為に行くんだから、静かに過ごしたい。ホントは一人で行きたいくらいだけど、マフィアのボスはそれじゃ駄目なんだろ?」
「ああ。悪いが、その頼みだけは聞いてやれないな」
「うん。じゃあ、明日、出立に間に合うように護衛をおれの部屋に寄越してくれる?」
「誰でもいいのか?」
「いいよ。あ、皆に忙しいところ頼んじゃってゴメン、って伝えてくれないか」
「了解した。おやすみ、ボス」
「おやすみ、リボーン」




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