ミステリアスパニック!

□05
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【現実世界視点】







車掌室の中には、4人の人間。
まず、電車の暴走が止まって安心している車掌さん。それから熱斗と、今さっき電脳世界からプラグアウトしてきた私。

そして…初めて会う、色の抜けた髪の、軍服を着た男の人。15,6才くらいかなあ。顔立ちもすっきりしてて、すごくカッコイイ人だ。熱斗や炎山とは根本的に何かが違う気がした。



「熱斗ー、さっきの緑色のナビにお手柄取られちゃった。せっかく私の銃の腕前見せようかと思ってたのに」



ぷうーっと私が頬を膨らませると、熱斗はいやいやいやと手を横に振った。私は銃を黒いジャケットにしまい込みながら熱斗の言葉に耳をかたむける。




「イヴちゃん、それ余裕で銃刀法違反だから!」

「でもねさっきのその緑色のナビのライフルね、すごい高性能っぽかった!いいなーあれ触ってみたい…!」

「イヴちゃん!?」




「サーチマンは俺のナビだ。高性能なのは当然だな」



「…あ、えっと……」




軍服のお兄さんが私の方を見ながら言ってきたので、私はちょっと反応に困ってしまった。名前も知らないし、何たって初対面だから。
初対面の人間は、どうしても警戒してしまって上手く言葉が出ない。優しそうな人なら大丈夫だけど…なんかこのお兄さん、冷たい感じがする。

目をそらして腰が引けている私を気遣ってくれたのか、お兄さんは少し優しめの声で言った。



「俺はライカ。シャーロ国の軍人だ」




すっと差し出される、白い手袋をはめた私のよりずっと大きい手のひら。
握手かな。




「わ、私はイヴ。イヴ・エルレインです…」



おずおずとその手を握りかえし、ふとチラリとライカのほうを見上げると、ライカは少しだけ優しく笑っていてくれたのでなんだか安心した。
……うん、思っていたより冷たい人でもないかも。





「…あ、二人とも見ろよこれ!」





横からふいに聞こえた熱斗の声に反応して、私たちは熱斗の手に取られたものを見る。


「これは…ダークチップ?」



「だーくちっぷ?…って、なに?熱斗」


「あれだよ、えーと、そのぉ」


「闇のエネルギーが込められたバトルチップだ。使えば強力な力が得られるが、同時に自分自身の身を滅ぼす事にも繋がる為、使用禁止となっている大変危険なものだ。」

「そう、そうだよそれそれ!」


(ライカ頭いいなあ) 


「…でも、そんな危ないのがどうしてこんな普通の電車に?」





首をかしげる私に、ライカも熱斗くんも首をすくめるばかり。どうやら二人も分からないみたい。




「その辺りの詳しい捜査の為にも、とりあえず今からネット警察に向かおう。話はそれからだ。サーチマン、プラグアウト!」

「だね。ロックマン、プラグアウトだ!」



<了解しました、ライカ様>

<分かったよ熱斗くん!>





「ねぇ、熱斗やライカたちも、ネット警察のこと知ってるの?」


「え?知ってるも何も、俺たちはネット社会の平和を守る、ネットセイバーなんだぜ!ほら、証明できるもんだってあるよ」



そう言って熱斗くんは自分のPETから、”ねっとせいばー”の証である映像を浮き出させて私に見せてくれた。
うーん、色々分からない用語はまた真辺さんに聞いとかなくちゃ。ちなみにシャーロの意味も良く分かっていない。




(ということは、熱斗もライカも炎山も、ネット警察を通して友達ってわけかー。)
 
 



人と人の縁って、不思議なものだ。
そう思いながら、私は熱斗やライカと一緒にネット警察へと足を進めたのだった。



 
 






05.だーくちっぷ。




 





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