麻帆良な日常
□ACT.8
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「さて、飛鳥」
チビガキたちと話を終えたのか、詠春は戻って来た。他の部屋は騒がしく、おそらく宴会でもやらせてるんだろう。
「お前、何をやってるんだ?」
冷たい視線が突き刺さる。やべーなかなりご立腹のようだ。
「正体は明かさないように言っていたし、関係ない人物を巻き込むなとも言っていたし、どちらも守れていないじゃないか、え?」
こわっ……。昔の口調に戻ってるし。
「まぁ、過ぎたことは仕方がないか。それより、発作はどうした?」
「あ……」
そうだ。これを話さなきゃいけないんだった。
「実は詠春、このかが力を使ったんだ」
「何……?」
「オレの発作を止めるくらい強力だった」
「そうか、それで無事なんだな。飛鳥は」
詠春は考えるそぶりを見せ、「わかった」と一言だけ言い残して部屋を出て行った。
「飛鳥」
「何だよ夕詠」
「このかさんの力って、何ですか?」
「それは……」
話すのを少し躊躇ったが、夕詠なら話しても平気だと感じて話し始めた。
やんごとなき血脈を代々受け継ぐこのかに、サウザンドマスターをも凌ぐ程の魔力がやどっていることを。
「あの猿女がこのかを狙うのは、それが理由だ。東……西洋魔術師を討つ切札にしたいんだろうな」
「そうですか、このかさんにそんな力が……。僕と、同じ……」
「ん? 何か言ったか、夕詠」
「え? 僕、何か言いましたか?」
最後に何か呟いてた気がするけど、気のせいだったかな?
「それより腹減ったなー。何か持ってきてもらうか」
「あ、そうですね」
さすがに刹那たちが騒いでる宴会場に行くワケにはいかないし、オレは近くの使用人に声を掛けに向かった。
――夕詠SIDE――
飛鳥からこのかさんの力について聞いた後、何故か「僕と、同じ……」と呟いた。飛鳥には誤魔化したけど、何であんなことを呟いたんだろう。
――何か思いだそうとしてるのか?
わからない。シネマ村で頭に流れ込んできた映像といい、無意識に出た呟きといい……。一体、僕に何が起こっているんだ?